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2012年10月28日発売!

目莞ゆみ著「フィンランドのパワースポット 覚えているかー?」
定価1050円
ISBN978-4990604158
フィンランドのパワースポット 覚えているかー?

21世紀の今も、芸術的インスピレーションを与えるスピリチュアルな湖といわれる湖がフィンランドにあります。
第一部、シベリウスの妻アイノの実母エリザベト・ヤルネフェルト夫人と関係していた学生ユハニ・アホは、次に娘のアイノに恋慕します。母の元彼を無視するアイノと、そうと知らずに婚約した青年シベリウスは、ふとしたきっかけで一時、小説家ユハニ・アホとアイノの関係を疑って苦しみました。シベリウスの家庭アイノラに、思想と理想の先駆者芸術家たちが集います。
彼らの近く、湖畔の街に越して来た革命家コンニ・シリアクスは、やがて明石元次郎と親交を深めていきます。
そしてフィンランドはロシアからの独立に向けて動きだしました。
第二部、1917年フィンランド独立後の1920年、ユハニ・アホが残した最後の小説の全訳です。

目莞ゆみ

ISBN978-4990604158
定価1050円
初版発行2012年10月28日

[Kindle版]

小説の書き方 リンとソフィの場合

北欧のベストセラー作家2人の小説を分析して新しい『小説の書き方』を提案します。
リン・ウルマンは、ノルウェーとスウェーデンで活躍しているジャーナリスト作家、大女優リヴ・ウルマンと巨匠映画監督イングマール・ベルイマンの娘。
ソフィ・オクサネンは、フィンランドとエストニアを活動の舞台とする新進舞台女優作家。
リンとソフィのライティング・スタイルは全く違い、しかもリン・ウルマンとソフィ・オクサネンの描き方は、従来の小説の書き方とも異なります。未来へのライティング・スタイルを知るには、よい材料にちがいありません。二人の関心と問題意識の所在、小説におけるそれらの表出の仕方や資料の情報源を明らかにして、おもしろい読み物になっています。

目莞ゆみ

ISBN978-4990604127
定価977円
初版発行2012年5月8日

[Kindle版]

中国の若者はどうやって人材に育ったか

中国の若者は、どうやって人材に育つのだろう。
中国を担う若い人材たち、バーリンホウそしてジョウリンホウ世代の学生たちは、学校で何を学ぶのだろう。彼らのお気に入りの現代中国人作家とは。彼らにとって莫言とは。
彼らの家庭はどんなだろう、家族とどういう日常を暮らし、親は子をどう躾け、子は親をどう思っているのだろう。いつも何を考え、普段何を食べているのだろう。
人は誰でも自分に深くかかわる日常的な生き方があります。そこに秘密がありました。
彼らの多くが「社会に役立つ人材になりたい」と語ります。

目莞ゆみ

ISBN978-4-9906041-0-3
定価1500円+消費税
初版発行2011年11月28日
Japani, Keisarit, Lempimuistomme (Finnish Edition)

Japani, Keisarit, Lempimuistomme(”Japan, emperors, and favorite memories”『日本、天皇、好きな思い出』)は、万葉集、古今和歌集、新古今和歌集、千載和歌集より46人の歌人が詠んだ62首の愛の和歌、しかも音的にフィンランド人が朗読して愉しめる歌を収録。春夏秋冬と季節知らずに分類し、見開き1首、さいこ氏の書を愉しみ、和歌を詠じて愉しみ、芬訳を愉しむ、一冊で三回美味しい本に仕上がりました。歌人と和歌の背景が解説され、興味のある人なら、さらに展開できる仕様になっています。巻末で、日本文化についてフィンランド人が知りたがる分野を特に取り上げ。写真つきで説明しています。フィンランドは1917年12月6日に独立。1920年2月12日に東京に赴任した初代フィンランド公使ラムステッド氏の芬訳になる万葉集など勅撰歌集から和歌15首、俳句180首を、令嬢エルマ・ヤンネフェルト氏が編集、”Japanilaisia runoja(日本の詩歌)”と題して、1954年に刊行しました。日本で未だ知られていない事実です。目莞ゆみ書き下ろしの本書は、ラムステッド芬訳詩歌本を紹介、本の表紙の写真を掲載しており資料的価値も高いものです。2010年10月6日から10日まで開かれるドイツ、フランクフルト・ブックフェアに出展。

mei yumi

ISBN978-0557208807
定価本体:$13.95、$29.95
初版発行2010年4月30日
ピリタ、カルヤラの少女
ピリタ、カルヤラの少女

7才で奴隷に売られたフィンランド人少女ピリタの「フィンランドのおしん」ともいえる波乱の半生を描いた大河ドラマ。
舞台は、ロシアの人々がノヴゴロド・ヴェリキイ「偉大なるノブゴロド」と呼ぶ古都市、街全体がユネスコ世界文化遺産。モスクワのトロイツェ・セルギエフ大修道院、白海のソロヴェツキー修道院、そして現在申請中のラトガ湖上のヴァラモ修道院。ペチョラ川東部一帯のコミ原生林が世界自然遺産。超速で飛翔するヒビナ山の精霊たち。荘厳華麗なロシア正教、森深く穴を穿ち厳冬も修行をつづける修道士たち。毒殺、戦争、斬首、溺死、暴行、焼死、黒死病、狂犬病。「それは神の思し召しです」ということばのヒーリングは、私たちの「人事をつくして天命を待つ」にも似る。寂しさに泣き、幸福なうれしい人生の位相。少女ピリタの生き方が時代を超えた真実を告げる。生きる力をみなぎらせてくれる。

第1章 『我らを赦したまえ 新生児 無辜の顔』
第2章 『ノヴゴロド・ヴェリキイ、偉大なるノヴゴロド』
第3章 『ナタリア』
第4章 『大公』
第5章 『ヴィエナの地』
第6章 『トゥルヤ湖畔』
第7章 『帰郷の旅路』

出版社:彩流社 作者:カアリ・ウトリオ

ISBN4-7791-1378-9
定価本体:2800円+税
初版発行2008年9月10日
フィンランドという生き方
フィンランドという生き方

気もちを切りかえて、ほっと心楽しい人生にしたい人へ贈る本。

0. フィンランドという生き方(はじめに) フィンランドの日常風景 / 高福祉と高教育が鍵 / 日本にはない考え方
1. 日常の愉しみ 人生はサウナとともに / 石の風景 / 古着マットは手織りで / 暗闇を歩くには? / 蚤の市 / キシリトール・ガム / きれいなフィンランド人
2. 森の植物たち フィンランドの森 / ホルスマ / 小鳥の愛するナナカマド / 赤松と夕日 / ハアパの並木 / 白樺はキシリトールの泉 / キノコの宝石? / 千年の眠りから醒めた美の素材 / 自然を家に入れる / 環境持続可能指数の話
3. 食物の饗宴 旅の友、カラクッコ / 家庭料理、カルヤランピラッカ / 固焼きロール、プッラ / フィンランドの煎餅、ナッキレイパ / フィンランド人が好む家庭の味、プウロ(粥) / ヨーグルト・ケーキは自家製が似合う / 森のご褒美、キノコ / サルミアッキを食べるとフィンランド人が分かる / フィンランド人の大好物、ラクリツシ / ザリガニ、夏の味 / ジュニパーはジンの香り / ラッカが秘める謎のパワー / ルバーブ / エステの実、サジー / サジーをおいしく食べるには?
4. 心の風景 フィンランド人の心の奥にあるもの / 心に黒い煙が立つとき / 音楽療法 / 薬物依存を音楽療法で治すには?
5. 教育の目指すもの 教育が世界一の理由 / 日本とフィンランドの教育をいくつか比較すると / 子どもの自立を育む教育 / 小学校から大学まで / 授業料無料の職業訓練校とは? / フィンランドの私立学校 / ティーンの暮らしは?
6. 性と愛のファンタジー セックス・ファンタジー調査 / 愛の生活1,2 / 地中海、モナコ公国はフィンランドを愛す
7. 祭りの季節 復活祭(イースター) / 華やぎのメイ・デイ / 夏至祭という舞台装置のなかで / 名前の日 / 一年はクリスマスのために / 代表的なクリスマス料理とは? / 大晦日に、やりたいこと
8. 妖精、異形交歓 妖精ってなんだろう / マアヒネン / ペイッコ / 妖精に、なくてはならないわき役たち / 光り虫 / 異形交歓するアーティスト
9. アーティストのまなざし 芸術と日常が一体になった建築 / 冬の旅を聴きながら / 無口な映画で
10. 政治、事件の動き 女性の社会進出 / 社会進出にともなうゴシップは、どこの国でもある / 犯罪もある / 自殺が多いのは?)
11. 福祉の根底にあるもの フィンランドにホームレスは、いる? / 風時計1,2、フィンランドの高齢者介護とは?
あとがき 参考文献および資料に、お楽しみ付録として、貸し別荘情報、フィンランドで人気の歌手など。

出版社:フィルムアート社
編集協力:フィンランド・プロジェクト
Special thanks linkit

ISBN4-8459-0583-3
定価本体:2000円+税
初版発行2005年12月2日
新・シーボルト研究
新・シーボルト研究

『新・シーボルト研究』
2003年は、シーボルトの第一回来日から数えて180年目にあたる。本書は、これまでの雑誌等に発表された既刊論文を中心に新稿を含めて、シーボルト研究の最近の動向を人文・社会・自然各分野のすべてを含む形で、第一巻 自然科学・医学篇、第二巻 社会・文化・芸術篇の二冊として収録しようとするものである。こうした論文集を一覧することにより、各分野にわたる近年のシーボルト研究の動向をつかむことができると思われる。

八坂書房「『新・シーボルト研究』刊行にあたって」より。

桂ゆりえ『東西インド諸島報知』
ーアジアとアメリカにおけるオランダ領に関する科学的産業的記録と回想ー
シーボルト編纂による『東西インド諸島報知』より、シーボルトの自筆論文のみ抜粋して邦訳したのが本稿。当『報知』は、広くヨーロッパ市民に日本を含むアジア地域事情を紹介する目的で刊行されたため、学術論文とはひと味違う気安さで読むことができる。NHK総合「その時歴史が動いた」7月16日(水)21時30分〜22時で「シーボルト・海をこえた愛が日本を救った!新史料・開国秘話▽涙の別れ」として放映されたとおり、四隻の黒船で浦賀に来航したアメリカのペリー艦長が、日本に開国を無理強いしないで一年後の来日を約束して帰ったのは、シーボルトのアドヴァイスに従った行動だった。当時のロシア、フランス艦隊の日本近海への出没、国姓爺とシーボルトの関係等々、他にも興味ある事実が収録されている。桂ゆりえ(仏語邦訳)は、芬語邦訳ではペンネーム目莞ゆみを使用している。

出版社:八坂書房 編集委員:石山 禎一、沓沢 宣賢、宮坂 正英、向井 晃

ISBN4-89694-730-4
定価本体:9800円+税
初版発行2003年7月23日
ロウヒのことば〈下〉フィンランド 女性の視角からみた民俗学
ロウヒのことば

〈下巻〉目次は次の通りです。

  1. 第4部 よい女 わるい女
    1. 第12章 フィンランドの伝統で淫売(フィラ)と呼ばれた女性、レエア・ヴィルタネン
    2. 第13章 ひそかにおこなわれる公然の選別(文化が語る子殺しの物語)、メルヴィ・ノウシアイネン
    3. 第14章 「そして寡婦のパンを食べた」(労働伝統における民間信仰民話)、ウッラ=マイヤ・ペルトネン
    4. 第15章 遺体洗浄-女性の仕事、ウルリカ・ウルフ=ヌッツ
  2. 第5部 女性と詩歌
    1. 第16章 女奴隷、王女、そして開放問題(インケリとシベリアにおける女性の自叙伝吟唱歌)、センニ・ティモネン
    2. 第17章 はじめに女性ありき?、キルスティ・マキネン
    3. 第18章 愛を誘う呪詠をする女性、ウッラ・ピエラ
    4. 第19章 「うちの小鳥(テトリ){可愛い嫁の呼称}は、よく仕事をする」(インケリの花嫁の女性らしさについての視角)、ヘンニ・イロマキ
    5. 第20章 彼岸の人々、此岸の風景、そして性(ヴィエナンカルヤラ民族詩歌における境界)、ロッテ・タルッカ

出版社:文理閣 編著者:アイリ・ネイラ,センニ・ティモネン

ISBN4-89259-418-0
定価:本体3200円+税
初版発行2003年7月10日
ロウヒのことば〈上〉フィンランド 女性の視角からみた民俗学
ロウヒのことば  フィンランドの女性の社会進出は目覚しく、どうして女性がそんなに社会進出を果たしえたのかとても知りたいところです。
 現在どのような分野にどれくらい女性が進出しているか、その地位は等については、いくらでも資料がありますが、そこにいたる歴史的過程、女性の社会進出の秘訣を知る手がかりを見つけたいというのが私たちの願いです。
 「ロウヒのことば」は、男性が作った社会や伝統を女性の視角から解釈しなおす「論争の民俗学」です。
 アメリカ等では「転覆の民俗学」ということばも使われています。
 「論争の民俗学」も、問題提起し、論争して今の社会状況を変革する意図があります。
 本書を読むと、今の日本社会や日本人男性にも見られる男性優位(家父長制)の思考法が反射して見えて、そうそう!と思わず身を乗り出しそうになります。
 「あんたも苦労したんだねぇ」と肩を抱きたくなるではありませんか。

〈上巻〉目次は次の通りです。

  1. 第1部 女性の視角 
    1. 第1章 性 文化 伝統、アイリ・ネノラ
    2. 第2章 女性の視角からみた民話(おおいなる母の鑑として白雪姫を称えるか、それとも蹴とばすか)、サトゥ・アポ
    3. 第3章 自分と他人の日常(女性の人生を智恵と日常的思考に反映すること)、カイヤ・ヘイッキネン
    4. 第4章 リョンロト好みのカレワラ女性像、パトリシア E ソウィン
  2. 第2部 女性の行動における民族伝統 
    1. 第5章 オクセンヤの娘クラウディア(吟遊誦者の伝統伝承)、アンネリ・アスプルンド
    2. 第6章 手のない娘(ふたりの物語ふたりの詩歌)、グン・ヘッラネン
    3. 第7章 女性がダンスを申し込むとき ピルッコ=リイサ・ラウスマア
    4. 第8章 娘が産まれた むだが生まれた? ライリ・マルムベルグ
    5. 第9章 少女の手たたき遊び 女らしさの文化?、ウッラ・リッポネン
  3. 第3部 よい女 わるい女
    1. 第10章 「こころは純粋 からだは純潔」黄金伝説 聖女の自伝、イルマ=リイッタ・ヤルヴィネン
    2. 第11章 「無知が女性の一番の美徳」聖書がいう女性の罪、マルヤッタ・ヤウヒアイネン

出版社:文理閣 編著者:アイリ・ネイラ,センニ・ティモネン

ISBN4-89259-379-6
定価:本体3200円+税
初版発行2002年3月1日
天使は森へ消えた
天使は森へ消えた フィンランドには数多くの妖精や魔物がいて・・・実はそれは「収斂」により人間に似た姿に進化した未発見の生物だった・・・
  • 第1章 『薄闇が地にしのび寄る』

     気になる。四パイントの大ジョッキをゆらしながら、かるく酔ったマルテスの顔がにやにやしている。マルテスの手が、テーブルの私の手のそばにあり、私はその手の甲の黒い毛を見る。セクシーなすらりとした指の関節、わずかに盛りあがった静脈。私の手がマルテスの手のほうへちらりと動くと、巣穴のザリガニのようにマルテスの手がピクリとひっこむ。ふたりの手がテーブルの下のゴム紐でつながれているようだ。
     彼の目を見る。親しみのある顔に、率直でわかりやすい微笑を浮かべている。とても愛想よく、同時にまったく素っ気なくも見える。彼の目はコンピュータのアイコンだ。その無表情なアイコンの図柄の裏に、それをひらける人にしかわからない無限数の不思議が隠されている。
     「どうしてぼくをビールに誘う。何を期待しているんだ」
     マルテスは椅子の背に寄りかかる。とてもくつろいで、くったくのない様子で。
     「ステキなおしゃべり」
     「それだけかな」
     私が何かを無自覚にさらけだしてしまったかのように、マルテスは私をじっと見つめる。

出版社:サンマーク出版 作者:ヨハンナ・シンサロ

ISBN4-7631-9424-0
定価=本体1700円+税
初版発行2002年2月20日
春は八月に来た
春は八月に来た 第8章 『島の夜』

 年間千人以上のフィンランド人が自殺する。それぞれが六人から八人の遺族を残し、自殺という行為がその人たちに重い精神的な傷を負わせる。一万人以上のフィンランド人が痛恨の悲嘆にくれることになり、その悲嘆は一年では解消しない。これら故人の大部分は男で、若い人の率が高い。自殺した人のどれくらいが離婚のせいでそのような状況になったのだろうと考えた。私がここに言及した友人の大部分、ほとんど全ての人々が自殺の考えは少なからず心にあったと語る。新しい愛の対象を見つけた人でも、熱い恋に生きるなど、離婚したばかりではとてもそんな心の状況にはなく、ただ均衡のとれた日常感を取り戻す効果があればと思っているのだ。いくらかでも結婚が救済されれば、それで救われる生命もあるだろう。
 自殺の企ては、もちろん危険だ。それには真剣に対応するべきである。自殺をした人はほとんど皆、事前にそれらしいことを仄めかしていた。こうした前兆に無関心に反応するのは、それ自体すでに無責任だし理解不足だ。よくあるのが見過ごしである。

週刊ダイヤモンド1999年2月27日号135頁『井狩春男のこれは売れる!』

 「一年間、ひた隠しにしていた秘密が明かされる。希望と失望の波に、翻弄された一年。狼狽という言葉は、思い返せば、なまぬるい。私の人生は、粉々に砕け散った。初めは、どんなふうに始まったのと、私が尋ねると、夫の眼は、愛に耽溺する男の、まごついたような、うっとりした表情になる・・・」
 ゾクゾクする文章だ。もっと読みたくなる。
 『春は八月に来た』(彩流社)は、フィンランド発、癒しの物語だ。「この小説を読むことがセラピーだったと、読者は語る」
 前にこのコーナーで初めて紹介した『葉っぱのフレディ』(童話屋)は、ビジネスマンが癒しとして読み、小生の予想どおり、現在10万部を超えるベストセラーになっている。今度は、この小説で癒される人が続出するだろう。読者は主に女性である。イッキに火がつくことも予想できる。タイトルもイイ。98ポイント。  

出版社:彩流社 作者:セッセ・コイヴィスト 台湾で邦訳本から中国語化された本の表紙。

ISBN4-88202-517-5
定価(本体2000円+税)
初版発行1999年3月5日
妖精がいた夏-小さいミッキ-
妖精がいた夏-小さいミッキ- 第1章 『白い部屋』

 白いテーブルに座っている。うしろの部屋には誰もいない。ベットを振り返ったところで、みんな死んでいる。生きているのは私だけだ。ほかには誰も。部屋のすべてが静かに沈みこんで私を眺めている。おし黙って恨んでいるようだ。わきの椅子に触れても、恨みは消えない。しっかりと触ってみる勇気がない。
 空いている椅子や右側の壁を覆っている壁紙がこわい。あたりの静寂がこわい。ほんの小さなささやきでも叫び声のように聞こえてしまいそうだ。ここに漂っている空しさがこわい。いま、なにも考えられないくらいこわい。

出版社:近代文藝社 作者:エッシ・サルミ

ISBN4-7733-4330-3
定価1000円(本体971円)
初版発行1995年11月30日