夏は八月、月光のなかを、二人の小さなペイッコの子が静かな森の小道を、二人きりでトコトコ歩いていた。花々が香り、空気はあたたかく、いちどでも、おとなが居ない夜、家の庭の外に冒険を求めて、自由に出歩くことができたので、とても気分がよかった。緊張に胸をときめかせながら、兄と妹は、手と手をつないで忍び出た。お化けや他の変な動きが、心優しい二人のペイッコを怖がらせたら、みんな放りなげて、家へ、安全な父や母のもとへ、屋根の下、暗い隠れ家へ、駈けもどらなければならないから、それで旅は、もちろん台無しになるだろう。運良く、お化けに出くわすことはなかった。それで彼らは、どんどん歩き、とにかく、できるだけ、小径の左右に耳を澄まし、目をこらし、家の近くで見かけたこともないものを、とてもたくさん見た。
しかし、できなかった! 物珍しやのペイッコの子たちは、その真っ最中に眠くなってしまった。初めての旅の途中で疲れきって、トウヒの下にいって座り、そしてそこに、小鳥の子のようにまるまって眠りこんだ。朝、太陽が昇り、ぼさぼさ髪の冒険者たちも、明るい日ざしで目をさました。彼らを、勇敢な冒険者ペイッコたちを、驚かせた秘密は、眠っているまにどこかへ消えた。あんなにすてきな出来事は、どうしたのだろうと二人は考えこむ。それでペイッコの子どもは、やっても良いと言われたら、すぐまた新しい旅に出ようと決心した。たぶん、明日の晩にでもまた。
それより、もう少し大きくなり、銀の月の光りのなかを太陽が昇るまで起きていられるようになったときにでも。